従業員の離職を防ぐ理念とは?経営者が用意すべき企業の核となるもの!

経営理念

よく、「創業した企業の10年後の生存率は〇〇%」というような話がネット記事に出てきたりしますが、中小企業庁の調べだと、近年では一番のピークだった2008年を境に、中小企業の倒産件数は減少しているとのこと。

しかし今度は給料が安い、ブラック企業、やりがいを感じない、などの理由から、新入社員の実に3割が入社3年以内に退職をしているという問題が続いています。

これは新入社員だけに限った話でありませんが、近年は景気の激しい落ち込みはなく、比較的安定はしているものの、それを実感できていない国民がまだまだ多いという現状があるようです。

経営者のあなたがいくら頑張っていても企業として育たない?

あなたが経営している会社ではいかがでしょう?

「従業員には無理をさせてしまっているかもしれないが、同じだけ、それ以上に自分も会社や従業員を守るため一生懸命働いている」
「口下手でうまく伝えられてはいないかもしれないけど、自分の背中を見せれば従業員達もきっと分かってくれているはず」
「まっすぐ真面目に仕事をしていればみんなついてきてくれる」

という想いがあるかもしれません。

しかし、厳しい言い方になりますが、それで伝わっているなら、従業員の離職はもっと減っているはずですよね。

あなたは「経営者としてこれだけ頑張っているのに、従業員たちを自分の家族同然と考え、背中を見せて頑張ってきたのに、それでも辞めていくなら仕方ない、あとは本人達の自由だ。」

ということにして納得しようとしていませんか?

日本の中小企業のおよそ半分が企業理念をきちんと設定できていない!?

従業員の離職は、次の採用への労力にもつながります。

それは当然ながら採用コストにも直結することは、いうまでもありませんね。

では、従業員の離職を減らすために、あなたが経営者として必ず用意しておくべき必須のものとは何か?

その答えが企業理念です。

ある調べでは「全国の中小企業の53%が創業時に企業理念を定めている」つまり、約半分は企業理念を設定せずに経営しているということになります。

企業理念はあなたの会社の存在理由ともいえます。

理念のない企業は存在する理由を持っていないということになります。

だからこそ今からでも、存在する理由をしっかり打ち出していくことこそが、経営していく上で必須の重要項目なのです。

明確な存在理由や意味を示せば、この企業の従業員であるというプライドや、やりがいを持った従業員育成にもつながり、社内で共通の価値観を持って進んでいけるので、結果的にそれは離職防止という問題の解決にもつながるというわけです。

企業理念がない経営だとこうなる

僕は以前、小さな雑誌の広告代理店で働いていたことがあります。

規模は15〜20名ほど。

社長は昼に現れ、お金を数えるだけ。(というふうにしか見えない)

売り上げが上がらなければ営業担当に「何とかしろ」と告げて帰る。

制作室の僕らには「与えられた業務だけこなせ」と言い、営業は新規客と契約したり、大きな案件を取ってきたら給料やボーナスは上がりますが、制作室の僕たちはおもしろいほど何の評価もありませんでした。

時間外労働の強要はなかったし有給も取れたので、その点だけでいえばブラック企業ではなかったのだと思いますが(笑)

あ、ちなみにどれだけ働いても残業代は出ませんでした(笑)

とにかくワンマンプレイの独裁経営だったので、一人辞め、二人辞め、エースと呼ばれる主力営業も辞め・・・

自分の未熟さもありますが、やりがいを見出せなかった僕もその波に乗って辞めました。

残念ながらその会社は今はもうありません。

そしてここになかったものこそ「企業理念」でした。

それでも意識の高かった一部のメンバーは、自分でやりがいを見つけながら、会社のためというより、自分のプライドやお客さんのために働いていました。

しかしそれは、結局それぞれがバラバラな方向を向きながら”売り上げ”という共通点だけのために働いていたということにすぎませんでした。

企業はなぜ売り上げを伸ばさなければいけないのか

確かに企業である以上、ビジネスをやっている以上、当然ながら売り上げがなければ続きません。

でも、「会社を存続させるために売り上げる」、「給料をもらうために仕事をする」だけでは、本質的な「この企業で働く」という意味にはならないのです。

企業理念をしっかりと落とし込んでいくことは、従業員たちの成長や帰属意識の向上にもつながります。

この企業にはどんな理念があり、そこでなぜ自分はこの仕事をしているのか。

「この企業で働く意味」を持つということが、仕事をしていく上でモチベーションになるのです。

そしてこの企業が向かうべき目的地への目印になるので、目的地にはどうやってたどり着けばいいのかを自ら考え、責任感や目標、やりがいを持ち、ブレずに仕事に邁進していくことができるのです。

こうなれば結果的には離職率は下がっているはずです。

例え企業理念を掲げていたとしても、額縁に飾られているだけでは、ホームページに書かれているだけでは、社内には何一つ伝わっていないことと同じです。

朝礼で社員一同で毎朝読み上げていたとしましょう。

もし頭の中に暗記されていたとして、その経営理念は社員一人ひとりのものになっているといえるでしょうか?

揺らぐことがない絶対的な道しるべとして、そこで働く経営者であるあなたを含めた、全員の行動基準となってこそ、企業理念が社内に落とし込まれたことになるといえます。

企業理念はただ旗のように掲げるだけではなく、浸透させることも重要ということですね。

企業理念が経営において大きな役割を果たすもう一つの理由

そして企業の離職率減少は、あなたの会社だけでなく、社会課題の対策への第一歩にもなることをご存知でしたか?

ご存知のとおり、日本国内には深刻な社会問題が数多く起こっています。

少子高齢化は正にそのど真ん中。

そこから派生して、近い将来、労働人口も激減するといわれています。

労働人口が減っても労働力が落ちないようにする、これは正に離職を減らし、従業員を定着させるということなのです。

であるならば、経営者のあなたが自社を守り、未来の日本社会を守っていくために、やはりしっかりと企業理念を掲げ、浸透させることが経営においては必須事項。

少子高齢化が進んでもわれわれの子どもたちの世代が、安心して生きていけるよう、「働き方改革は、一億総活躍社会実現に向けた最大のチャレンジ。」と首相官邸から発表されています。

当然、離職防止は働き方改革の中にも含まれており、日本の経済を支える99.7%の中小企業が、しっかりと企業理念を掲げ浸透させていくことで、持続可能な世の中につながるといえるのです。

理念を浸透させるには

掲げた企業理念が”ただの言葉”で終わってはなんの意味もありません。

しっかりと従業員たちに浸透させていかなければいけないのです。

僕が仕事でお付き合いさせていただいている、ある企業では、企業理念や判断基準、こだわりや姿勢などが一冊にまとめられた手帳が全従業員に配布されています。

毎朝、読み上げているそうです。

が、それだけにとどまらず、自社のバイブルともいえる、その手帳に書かれていることに基づいた出来事や学びになったことを、社内で定期的な発表会を開いてシェアしあっているのです。

従業員の方々は何か迷った時にはこの手帳を開き、自分の判断が間違っていないか、北極星のように道しるべとして確認し、自らの判断で行動をしていました。

しっかりと社内の風土として落とし込まれているのが伝わり、従業員同士の雰囲気もすごく良く、従業員一同が「経営に参画」しているという意識すら感じます。

その企業は毎年、売り上げ記録をバンバン塗り替えています。

理念が浸透すると、こんなにも大きな力を生むのだと間近で感じた瞬間でした。

理念浸透することで企業が得られるメリット

企業理念はホームページや会社案内、パンフレットなどで発信していくことで、社内だけでなく対外的にも、あなたの会社の存在理由、何を目指しているのかを伝えることができるツールにもなります。

企業理念が定着することで、一人一人に自社でのやりがいができ、充実して働いてくれる自社愛のある従業員に育っていってくれてたらと想像してみてください。

その従業員たちは「うちの会社って○○なことをやっててさ〜」「〇〇なところがあって超楽しいんだよね」など、自社の良さをプライベートでも話してくれるようになったらどうでしょう?

「仕事楽しい!」とSNSで発信してくれるようになったら?

多くの従業員がこのように”良い”発信をしてくれれば、宣伝広告費の削減にもつながります。

口コミってこういうところから広がるものです。

作り物ではないリアルな声としての発言なので、例えば就活生にとってはかなり有力な企業の情報になり、就職希望企業の一つにリストアップされる可能性も大いに考えられます。

飲みの席では仕事や上司の愚痴ばかり・・こんな状態の企業ではそもそも離職率の低下なんて防げないですよね。

しっかりと見える化のできている企業理念は、会社内外に伝わり、その理念に沿った動きは、企業イメージの定着、向上、そしてブランド価値として成長していきます。

さらには「全従業員参画の経営スタイル」になっていくのが理想といえるでしょう。

理念が明確な企業は、そうではない企業と比べ、なんと7倍近くも収益の差があったという調べも出ています。

反対のことを考えてみましょう。

言葉だけの企業理念を掲げても、従業員たちがそれに見合った行動を取っていなかったとしたら・・

これは社のトップである社長のあなた自身の行動にも同じことがいえます。

「あの会社(あの社長)、きれいごとばっかり言って、結局何にもやってないじゃん」

と思われてしまっては、自分たちの手で株を下げていることになります。

だからこそ企業理念はしっかりと社内に落とし込み浸透させること。

それは行動指針の素ともなるので、経営トップのあなたを先頭に、従業員一同で理念に背かない行動を取っていかなければいけないということになりますね。

大丈夫です。

あなたは想いを持って会社を立ち上げたはず。

その想いや情熱がまだうまく言葉に表せていないだけです。

まずは自分の想いをしっかり掘り起こしていきましょう。

企業理念はただの言葉で終わらせるのではなく、想いや情熱と共に従業員に伝え浸透させていきましょう。

家族同様に思っている愛すべき従業員たちを離職させないためにも。

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