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時代は急速な発展を続け、今も新たなモノや技術の開発が進められています。
「時代ばかりが先を行き、こちらは付いていくのが精一杯」なんていうことはありませんか?
しかし、今までのやり方だけでは、この先自分が経営している会社を続けていくことが出来るのかと危機感が増している、または既に経営が悪化している、なんていうことに頭を抱えていたりしませんか?
「今までのやり方だけに、とらわれてはいけない、うちの会社でも新規事業を始めよう!」
でも何から始めればいいのか・・・という経営者のあなたに今回は、戦略的に新規事業を始めるためのお話をしていきます。
経営者のあなたが今、社内に取り入れるべき考え方である、SDGs(エスディージーズ)こそがその答え。
SDGsをきちんと経営に取り入れれば、戦略的に新規事業を構築していけるようになりますし、あなたが経営する会社の従業員たちも、より意識を高く、やりがいを持って働いてくれるようになります。
それは、新たなアイデアを生み出し、新規事業も一つだけではなく、どんどん広がりを見せ発展していくに違いありません。
SDGsを経営の中に戦略的に取りれていくことが、経営者であるあなたに課せられた使命なのです。
さぁ、会社の巻き返しはここからです!
ところで新規事業構築に必要なSDGsってなんのこと?
国連で採択された世界の目標がSDGs(エスディージーズ)というものです。
「Sustainable Development Goals」の略で、日本語では「持続可能な開発目標」と訳されます。
すごく簡単に説明すると、「世界で起こっている貧困や飢餓、自然環境や海の環境破壊などをなくし、世界中の誰もが安心安全に生きていけるような開発・発展をしていこう」というものでです。
SDGsは、2016年から始まり、2030年までの15年間で達成するための目標で、環境問題や社会問題、経済問題、人権問題など大きく17種類の目標が設定されており、さらに細かく169のターゲット目標に細分化されています。
SDGsをさらに超簡単に説明すると、世界中の数ある問題点の中から、
「今これだけは解決しておかなければ、人々が将来生きていけなくなる、という問題点が17種類、169個ある」
ということです。
SDGsについてさらに詳しくはこちらの記事をご覧ください。
(SDGsを取り入れた経営戦略であなたの会社を大きく成長させるには)
結構大げさに聞こえますか?
「この先の未来と新規事業って何が関係あるの?」と思ったかも知れませんね。
それが大いに関係あるのです。
むしろ、SDGsの問題解決を目指さなくして、新規事業はありえません。
逆をいえば、新規事業なくして、SDGsの達成もありえないのです。
あなたが経営している会社に、SDGsを戦略的に取り入れていくことが、結果的に発展・成長につながるというわけです。
SDGsを経営の中長期戦略に取り入れながら新規事業を打ち出すやり方
「2030年までに達成するための目標」と聞いて、あなたはどう感じましたか?
「そんな先の話ではなく、すぐに結果につながる新規事業にしたいんだよ」
「2030年て、もうあと10年切ってるじゃないか。急がないと会社も就業員たちの将来も危なくなる」
さまざまな考え方、捉え方ができるかと思います。
2030年までと考えると、例えばあなたが経営している会社の中長期目標と一致させることはできませんか?
確かに、即効性のある新規事業を数多く展開していければ、それに越したことはありませんが、付け焼き刃のやり方ではうまくいくはずもありません。
あなたが経営している会社の中長期計画に、SDGsをうまく組み込みながら、戦略的に新規事業を進めていくことが理想的です。
いろいろなやり方や考え方がありますが、一例として、僕自身学びながら感じたことをまとめると、以下の6つの流れがスムーズです。
1.SDGs自体の理解と社内浸透
2.あなたが経営している会社とSDGsの目標との紐付け
3.世の中の社会課題にはどのようなものがあるのかを抽出
4.あなたが経営している会社の技術やサービスが、世の中のどんな課題解決、またはその一助となるのか
5.その技術やサービスが、2.の紐づけから発展して、別の目標達成に向けた広がりを見せられることはないか
6.新規事業として、明確なサービスとして展開させていく
経営者のあなたが新規事業を打ち出していくための具体的な6つの行動サイクル
もう少し詳しくお話ししていくと
1.SDGs自体の理解と社内浸透
まずは何よりもここからとなりますが、SDGsの理解度が高ければ高いほど、次の2~6までの流れがスムーズになります。
それは、SDGsを”共通言語”にできているということなので、一から説明しなくても”SDGsの視点”で意見交換やアイデア出しをすることができるようになるからです。
あなたが経営している会社内で、SDGsは経営陣だけが知っていればいいというものではないですし、CSR担当部署の人だけが知っていればいいというわけでもありません。
すべての従業員が理解して、同じ理念や目標、価値観で動いていけるようにしましょう。
このブログは、中小零細企業を経営している、経営者のあなたに向けて書いているわけですが、例えば、大企業の一部の部署しか十分な理解が得られていない状態と、従業員数は少ないが少数精鋭、物事の伝達スピードが速いあなたが経営する会社と、どちらがSDGsの浸透度が高いでしょうか?
これは、大企業に勝る大きな強みといえます。
では具体的にはどこで、どのようにSDGsについて知ればいいのか?
SDGsは国をあげて、世界をあげて取り組むべき目標であるということは、このブログでも何度もお伝えしているとおりです。
実は少しアンテナを張れば、至るところでSDGsについてのフォーラムや講演会が行われています。
そこで概要を学ぶもよし、書籍もたくさん出ているので、本を読んで学ぶもよし、そしてこのブログでも概要については書いています。
戦略的に新規事業を打ち出していくためには、理解だけでなく、社内浸透をさせることこそが重要になってきます。
そのため、社内でSDGsを勉強する時間も必要になってくることでしょう。
実務をこなしながらもその時間を割くわけですから、できるだけ短時間で理解から実戦に向けて進めていけるように、スケジュールを調整するとも必要です。
実際に、複数人に同時にSDGsを実感して理解できるように、カードゲームなどを用いて体感しながら学べるよう、SDGsのファシリテーターという存在も多くいます。
僕自身もSDGsの推進をしている者の一人として、ファシリテーションやセミナー、SDGsを経営に導入するお手伝いをさせていただいています。
2.あなたが経営している会社とSDGsの目標との紐づけ
まずは新規事業の前に、あなたが経営している会社のそもそもの事業は、誰のために、何のために存在しているのかを見直します。
今度はそれを、SDGsの視点から見てみます。
あなたが経営している会社の技術やサービス・商品、そして社内風土や働く環境などは、SDGsの何番の目標の達成に寄与できているのか。
ここが明確に表現できているほど、あなたが経営している会社が、世の中への存在意義を示し、”必要とされる会社”として認められる部分になります。
すぐに出てこなくても大丈夫です。
1.の理解がしっかり進めば、自ずと出てくるはずです。
企業理念が明確になっていれば、それはすぐにクリアできます。
企業理念とSDGsを戦略的に掛け合わすことができれば、社内への浸透も早いです。
企業理念については、こちらの記事も合わせて読んでみてください。
(従業員の離職を防ぐ理念とは?経営者が用意すべき企業の核となるもの!)
3.世の中の社会課題にはどのようなものがあるのかを抽出
世の中とは、広くは世界中や日本中、狭い範囲では街単位や地元地域などです。
大きくは、温暖化の影響で北極の氷が溶け、海面水位が上昇したことによって、モルディブという国が海に飲み込まれ消滅の危機にあることかも知れません。
世界中では人口が爆発的に増加して、貧困格差が開くことかも知れません。
逆に、日本は少子高齢化で、年金がもらえなくなることかも知れません。
地元地域では、三丁目の交差点は視界が悪く、事故が起こりやすいことかも知れません。
このように、様々な場所で様々な課題が多くあり、それはまた別の問題を引き起こしていたりするのです。
まずは、あなたが経営している会社の従業員一人一人が、大きなことから身近なことまで、世の中の直したいと思う社会課題を掘り起こしてみましょう。
解決したい課題があるということは、それは世の中から求められるニーズになるということです。
ポイントは”アウトサイド・イン”という考え方です。
(SDGsを絡めたビジネスで経営者が行うべき”アウトサイド・イン”の視点とは?)
4.あなたが経営している会社の技術やサービスが、世の中のどんな課題解決、またはその一助となるのか
そのニーズに対して、あなたが経営している会社の技術やサービス・商品を提供することで、解決できることやその一助になることはないかを考えましょう。
オススメする方法の一つが、”一日一事業構想”です。
”事業構想”といっても、重く受け止める必要はありません。
「こんなことができたら、○○で困っている人を減らせるな」とか「このやり方だと効率が悪いから、□□なことができたらもっと楽になるな」など、夢に描く理想的なことでも構いません。
この時点では、○○や□□に入るものは、あなたが経営している会社の技術やサービスでなくても構いません。
とにかくまずは一日一つ、”新規事業につながる材料”という観点で気軽にアイデアのストックを貯めることです。
ここでは質より量、柔軟な発想が新規事業につながります。
SDGパートナーズの田瀬和夫社長は「あんなこといいな、できたらいいな」と、ドラえもん的な夢見る想像力が必要だと話されています。
例えば、そんな発想から生まれたものが
ほんやくコンニャク→Google翻訳
そっくり銅像キット→3Dプリンター
と聞くと、なるほどと感じますよね。
あなたげ経営している会社の従業員は何名いますか?
20名?30名?
仮に20名いたとして、一人が一日一事業構想を3ヶ月、90日続けたとします。
90個の新規事業に向けた材料となるアイデアが20名分集まれば、単純計算で90個×20名分=180個出てきます。
その中から、あなたが経営している会社の技術サービスで、実現可能なものを絞り込んだり、似たようなアイデアを組み合わせたりすることで、だんだんと形になっていくはずです。
これは当然、従業員だけでなく、経営陣も含め、会社の未来のため、世の中の未来のために考えていく必要があります。
ポイントは「これは無理」「現実的ではない」などのネガティブな考えを捨て、逆に実現不可能と思われるくらいの大きな考え方で、自由に事業構想案を出してみることです。
すぐに実現できそうなアイデアなら、既に他の誰かがやっているはずです。
新規事業を打ち出すには、まさにドラえもん的発想が必要ですね!
これば実際にある”バックキャスティング”という手法です。
(事業を長期的に続けていくために”これからの”経営に必要な思考とは)
5.その技術やサービスが、2.の紐づけから発展して、別の目標達成に向けた広がりを見せられることはないか
4.で様々な大きなアイデアが浮かび、絞り込めたら、そこから打ち出せそうな新規事業は、SDGsのどの目標の達成に貢献できるか考えましょう。
2.であなたが経営している会社と紐づけしたSDGsの目標以外にも、広がりを見せることができれば、それは新たな市場の開拓にもつながる可能性が、大いに考えられるということになります。
例えば、旅行会社の東京トラベルパートナーズという会社では、企業向けの社員旅行や視察旅行を行なっています。
そして新たなサービスとして、介護旅行の”旅介”というサービスを始めました。
普通に紐づければ、SDGsの目標は3番の「すべての人に健康と福祉を」という目標の達成に寄与しています。
しかし、東京トラベルパートナーズさんでは、介護旅行サービスを通じて、介護旅行自体が増えていけば、旅行で訪れる街がバリアフリー化したり、だれでもトイレがもっと増え、高齢者や障害者にやさしい街が増えればと、SDGs目標11番の「住み続けられるまちづくりを」を自社の目標に掲げて事業を進めています。
これは”街づくり”という新たな市場に参入しているともいえるので、新たなキャッシュポイントの発生につながる可能性があるといえます。
また、自社のSDGs目標を明確に打ち出すことで、同じ目標を打ち出している、別業種の企業と組んで、さらに大きな新規事業が生み出されることも大いに考えられます。
6.新規事業として、明確なサービスとして展開させていく
1.2.でSDGsの理解を深めらがら、3.4.5.を回しまくっていく、これが重要です。
たった一つの案だけでは、つまづいた時にそこからの発展はしにくいですよね。
だからこそ”決め打ち”しすぎない柔軟な発想で、いろいろなアイデアを出し合い、トライ&エラーを繰り返しながら、新規事業を作り上げていくべきなのです。
経営陣だけが考えていては、数の原理からすると、新規事業アイデアのストックはなかなか貯まりません。
これが、あなたが経営している会社の従業員たちと一緒に練り上げていけば、様々なアイデアが出されていくというのはいうまでもありません。
しかも、SDGsを戦略的に経営に取り入れることは、新規事業の構築だけでなく、さらなるプラス要素が働きます。
従業員たちとともに新規事業を練り上げていくことで「やらされている」ではなく「一からみんなで作り上げた」という責任感も湧き、従業員たちも主体的に動いてくれるようにもなるはずです。
実は僕は、5.の例でもあげた、東京トラベルパートナーズさんに取材に行ったのですが、実際に従業員さんたちも、主体的で責任感が高く、いきいきと充実しながら仕事に打ち込んでいる様子をひしひしと感じました。
当然、主体性が上がれば、さらに多くの新規事業のアイデアが浮かんでくる可能性も考えられます。
こうなれば、離職防止につながるだけでなく、逆に優良人材が集まってきたり、それは、あなたが経営している会社自体が、”優良企業”として世の中から求められていくことにもつながっていきます。
SDGsを戦略的に経営に取り入れることで、それがもたらす恩恵はプラスのループを生み出します。
SDGsを新規事業に取り入れる戦略のまとめ
いかがでしたか?
上記にあげた6つの行動サイクルは、僕がSDGsの新規事業を打ち出す時に体験的に学んだものです。
これが絶対というわけではありませんので、もちろん、あなたが経営している会社のやり方に合わせて、カスタムしていただいて構いません。
いかに、世の中の課題に敏感になり、それを本気で解決したいと思える新規事業アイデアが浮かぶか、がカギになります。
あなたが経営している会社の理念やビジョンが、それを生み出すヒントにつながるはずです。
1日15分のアイデア会議をするのもいいでしょう。
どんな小さなアイデアの種も捨てずに、自由に発表できる場を作ってみてください。
新規事業も戦略的に楽しく生み出していきたいですね。
あなたが経営している会社は、意思決定や伝達スピードは、何千人もいる大企業よりはるかに速いはずです。
経営陣だけで閉ざされた環境にせず、愛すべき従業員たちと共に戦略的に新規事業を打ち出していきましょう。
新規事業案が固まったら、あとはしっかりと形にして世の中に広く発信、その問題で困っている人たちへサービスを展開させていくのみです。
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