理念だけでは動かない?経営者が理念と共に定着させるべきミッション・ステートメントとは?

経営理念

「会社を経営していく上で、持ち合わせていないといけない重要なものの一つが、”理念”です。」

という内容の記事を以前書きました。

(従業員の離職を防ぐ理念とは?経営者が用意すべき企業の核となるもの!)

それは間違っていないし、理念が絶対に必要であることは変わりありません。

あなたが経営している会社では、企業理念や経営理念はしっかり策定、浸透できていますか?

理念はきちんと設定できているのに、なかなか主体的な人材が育たないと悩んでいるようであれば、その答えは、「ミッション・ステートメントを作ること」にあるかもしれません。

僕が知る中で、ミッション・ステートメントについて、最も詳しく書かれている『7つの習慣』という本があるのですが、ご存知でしょうか?

世界で3000万部、日本でも200万部以上を売り上げている大ベストセラーで、”成功”に関する法則がぎっしり詰まった本です。

それもそのはず、この7つの習慣には、アメリカ建国200年の歴史の中から、”成功”に関する書籍や文献を徹底的に調べ上げ、そこから導き出された共通点をまとめたものだからです。

成功の共通点をみんなが実践していけば、ハッピーで笑顔が溢れる未来に、自分から変えていけるということです。

7つの習慣は経営者や政治家、官僚など多くの著名人にも愛読されており、一見、”ビジネス本”と思われがちですが、一人の人間として、幸せに過ごしていけるようになるための本であると、僕は思っています。

最近では、Youtuberとしても有名な芸人、オリエンタルラジオの中田敦彦さんなどが、おすすめの一冊として解説しているなど、本当に多くの人たちに影響を与えており、7つの習慣のファンは多くいます。

僕自身も、実は7つの習慣の実践会ファシリテーターだったこともあり、自分自身のバイブルとして、常に傍に置き、繰り返し読むようにしているので、今回はこの7つの習慣を題材にしながら進めていきます。

改めて今回は、「理念を定め、しっかりできているはずなのに、今ひとつ従業員の主体的な行動につながらず、結果が出ていなく困っている」という、経営者のあなたに向けて、ミッション・ステートメントの作成が重要ですよ、というお話をしていきます。

経営者の前に一人の人間として、あなたにとっての”成功”って何ですか?

まずは、こんな質問からはじめていきましょう。

ミッション・ステートメントがあるから企業理念や経営理念が活きてくる

自分にとっての成功?

自分がどんな目的で何を目指して生きているのか。

じっくりと深く考えたことはありますか?

お金を稼ぐため?好きなものを買うため?好きなことをするため?家族の笑顔を見るため?自分の夢を叶えるため?ライバルに勝つため?・・・これらが叶った時、それから先の死ぬ間際まで、あなたは笑顔でいられるでしょうか?

恥ずかしながら、僕自身は7つの習慣やSDGs(国連で定められた世界が平和になるための目標)と出会う前まで、自分の成功や生きる目的をじっくり考えたことはありませんでした。

自分が貧しい家庭で育ったことが原因だと決めつけ、娘が大きくなった時、好きなことに自由にチャレンジさせてあげられるようにと、必死で働いてきました。

今思えばいつの間にか、自分にとっての生きる中心や目的、成功は、「お金を稼ぐこと」になっていたのです。

7つの習慣には「終わりを思い描くことから始める」と書かれています。

あなたは、自分の葬儀の場面を思い描いて、その時に家族、親類、友人、経営している会社の仲間などから、亡くなった自分自身へ向けてどんな弔辞を読んでもらいたいですか?

その弔辞が、自分自身への答えになるように日々を生きていくことが重要なのです。

仮に当時の僕のように、お金を目的に稼ぐことばかり考えた生き方だったとして、「あなたは常にお金お金といっており、そのことしか考えていませんでしたね」なんていう弔辞を読まれてしまったら、それは自分の成功といえるのか?

周りにそんな見られ方をしていることが、本当に自分が想像している生き方だったのか?

誰にとってもお金は必要で、生きていく上ではとても大切なものです。

しかし、お金は生きるための目的にはなりません。

お金は生きていくためのツールであるだけであり、それ自体が目的のゴールにはならないのです。

これを会社に置き換えてみましょう。

収益を求めるあまり、従業員に過剰な長時間労働を強要したり、パワハラでプレッシャーをかけて積み上がった売り上げで、誰が幸せになれるのでしょう?

そんな昔のようなブラック企業が今もあるとすれば、従業員はどんどん減っていくのは想像に難しくないはずです。

従業員たちの人権は会社のものではなく、従業員自身のものなのですから。

会社に企業理念や経営理念があるのと同様に、一個人、経営者であるあなたをはじめ、従業員個人個人にも、自分が生きる上での理念を明確にしていく必要があるのです。

「ミッション・ステートメントとは、信条あるいは理念を表明したもの」
「ミッション・ステートメントは、その人の憲法となり、人生の重要な決断を下すときの基礎となる。変化の渦中にあっても、感情に流されずに日々の生活を営むよりどころとなる」
「ミッション・ステートメントはあなたの憲法であり、あなたのビジョンと価値観を明確に表現したものである。あなたの人生におけるあらゆる物事を測る基準となる」
「ミッション・ステートメントがあれば変化に適応しながら生活できる」

など、7つの習慣には、ミッション・ステートメントの重要性が事細かに書かれています。

ここでお気付きになった方もいると思いますが、ミッション・ステートメントとは理念であり、理念とはミッション・ステートメントなのです。

会社のことが大好きで、そこで働くことが人生のすべて、会社の一部となって一生頑張っていきたい、という従業員がいるのであれば、あなたが経営している会社の企業理念や経営理念は急速に浸透して、あなたが求める理想の働き方をしてくれるかもしれません。

しかし、働いてくれている従業員たちは、ロボットではなく、人権を持った一人の人間、自分自身が生きる意味や目的、自分にとっての成功も目指していくべきですよね。

自分の葬儀の弔辞で、読み上げてもらいたい内容にそぐう生き方をするための成功です。

それこそが自分自身が己の意思で考え、ブレずに主体的に動いていくことになり、ひいてはあなたが経営している会社でも、主体的に企業理念や経営理念を理解し、率先して働いてくれるという好循環を生み出していくのです。

先日、僕の仲間が亡くなりました。

頼りになる人物で、誰からも慕われ、いつも汗をかきながら笑顔で生きていた仲間です。

結婚式を挙げてみんなで祝い、たくさんの仲間が集まりました。

それから間も無くの突然の死だったのです。

LINEで訃報が流れてきた時、みんなが悲しみ、早すぎる死を悔やみました。

そこでみんな口を揃えていうことは、「彼の功績は偉大だ」「大好きな仲間だった」「いつも手伝ってもらって感謝しかない」などの多くの賞賛と感謝の言葉ばかりでした。

僕も今、この記事を書きながら、改めて、自分の終わりを思い浮かべながら、恥じない生き方をしていこうと思い返しています。

志半ばで逝った仲間の分まで。

ミッション・ステートメントは誰の中にも既に存在している?

ミッション・ステートメントという聞きなれない言葉かもしれません。

しかしこれを理念という言葉に置き換えたとしても、「自分自身の理念は?」と考える個人は少ないです。

「いつも笑顔で」や「絶対に諦めない」というざっくりとした理念や信条を持っている人は見かけますが、「いつも笑顔でいることで、周りにも笑顔を届け、みんなが幸せに生活していけるように生きる」や「絶対に諦めないことで、困難な問題にも立ち向かい、小さな可能性も見逃さずに困っている人たちのために全力投球」というように具体的に言葉にできる人がどれだけいるでしょうか?

あなたが経営している会社の従業員のみなさんはいかがでしょう?

僕の周りにも「幸せに暮らせればそれで良い」という人は多いですが、そのために自分はどう生きるかまで、すぐに明確に回答できる人は少ないです。

しかしこれは、日々を何も考えていないわけではなく、自分の内なる想いに気付けていないだけなのです。

僕自身もそうでした。

7つの習慣という本に出会い、SDGsで世の中の問題について学んだ時に、霧が晴れたかのように、自分の使命と在りたい未来が見えてきました。

そこから、僕自身のミッション・ステートメントが、ひらめき的に浮かんだわけではなく、自分の中に既に在った想いが姿を現したのです。

「なぜ?」と繰り返し自分に問いかけ、自身を深掘り、客観視し、信頼の置ける仲間に自分の考えや想いを話し、未来を考え・・・

そんな繰り返しの中から、浮かび上がってきた核は太くまっすぐなミッション・ステートメントでした。

ミッション・ステートメントがあることで、こんなにも物事の見え方が変わったと驚くほど、今の自分はブレずに進んでいけています。

今回は、個人のミッション・ステートメントについてがメインのお話ではありますが、会社のミッション・ステートメント、つまり企業理念や経営理念、部署やチームごとの理念を作る時にも、終わりを思い描くことが重要であるということも忘れてはいけません。

理念やミッション・ステートメントをしっかり落とし込むには

あなたが経営している会社の従業員の中で、今ひとつ思うような結果が残せていなかったり、会社の方向性からズレた働き方をしている人がいるのであれば、もしかしたらその従業員は、自分が生きる本当の目的、自分の成功はどんなことなのか、ということを見出せていないだけではないでしょうか。

ミッション・ステートメントは個人差によって、すぐに表面化するものかは分からないし、時間がかかるかもしれません。

しかし、己を見つめ直し、ミッション・ステートメントをきちんと定め、軸が固まり、仕事にも一層コミットしてブレずに動いてくれる従業員が増えたら・・

そんな時こそ、あなたの会社の企業理念と従業員たちの動きがシンクロしていくのです。

そうなれば、会社の成長の加速度も拡大も驚異的に進んでいきます。

「主体性を持つことによって初めて、どんな人間になりたいのか、人生で何をしたいのかを表現できるようになる」

と書かれているように、7つの習慣に沿って行動していくとするのなら、本来はまず主体的であるからこそ、次に「終わりを思い描くことから始める」ということにつながります。

しかし、僕自身の経験を振り返ると、ミッション・ステートメントを作る過程で、いろいろ自分と向き合うことができたから、その結果主体性が上がったという側面もあります。

7つの習慣に

「(ミッション・ステートメントを作る)このプロセスは、書きあがったものと同じらいに重要だと思う。自分にとっての優先事項を深く、丹念に考え、自分の行動を自分の信念に照らし合わせることになる」

とも書いてある通りです。

企業理念や経営理念と同様に、ミッション・ステートメントに書き方のルールはありません。

己の憲法になるよう、常に見つめ振り返り、時には修正を加えアップデートしていくことも必要です。

あなたが独立して、今の会社の経営をはじめた時、あるいは先代から経営を引き継いだ時は、とんな想いを抱いていたでしょう?

あなた自身のミッション・ステートメントはどんなものですか?

その時の想いや経験を従業員たちにシェアする時間を作ったり、本人たちの内なる意識や想いへの気づきを与えてあげることも、試してみてはいかがでしょうか?

小規模経営で従業員との距離感が近く、経営陣とのコミュニケーションが取りやすい環境、あなたが経営している会社だからこそすぐに着手できる取り組みかもしれませんね。

当然、企業理念や経営理念と同様、ミッション・ステートメントは、「一度完成させれば終わり」、「書き上がったら手帳を閉じて終わり」ではなく、日々5分でも3分でも、これらについて、頭の中でイメージする時間を設ける必要があります。

理念やミッション・ステートメントを、真に自分自身の中に定着させ、それに見合った人間に成長していけるよう、日々のわずかな時間の努力を積み上げていくことも忘れてはいけません。

さぁ、ここから会社の成長へ向けての、さらなる大きな一歩を踏み出していきましょう!

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