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ある調べでは、日本の起業家の割合は1.2%だそうです。
世界で見ると、数字的には非常に少なく、しかも年々その割合も減ってきています。
多くの理由は「失敗時のリスク」だそうです。
景気に左右されることもあり、「自分で会社を経営して、事業を立ち上げビジネスを回していくより、どこかの企業に守ってもらいながら力を発揮していきたい」という人が多いのかもしれませんね。
しかし、自分で経営するか、しないかというのは手段の一つであり、人が働くという義務には変わりありません。
そんな現代社会の中で、あなたは起業、もしくは会社を受け継ぎ、れっきとした経営者であるのは確かなこと。
自分の手で稼ぎたい、父から受け継いだ会社をこの先も持続させていく・・など、様々な想いを持ちながら、経営者として日々経営をしているはずですよね。
ここで今一度、「経営とは何か?」ということを振り返ってみませんか?
「組織は、それ自身のために存在するのではない。それは手段である。それぞれが社会的な課題を担う社会のための機関である。生き物のように、自らの生存そのものを至上の目的とすることはできない。」
と、”マネジメントの父”として有名な、ピーター・ドラッカーはこのようにいっています。
経営状況が厳しくなる時、大きな判断を迫られた時、目先の利益に囚われすぎてしまって、経営の本質をつい忘れてしまうことがあるかもしれません。
正しい経営ができていないと、会社は持続せず、成長・拡大も望めません。
でも、これだけ時代の変化が激しい現代社会で、経営者のあなたは「一体何が正しいのか」と迷うこともあるはず。
そんな時でも、あなたは会社を守り、働いてくれている従業員たちを守り、そして家族やあなた自身を守っていかなければならないのです。
なぜならあなたは経営者だからです。
時代に合わせた正しい経営、その中で正しい事業を展開し、正しいビジネスを回していく。
今回は、そのためのエッセンスとなる考え方を、国連で採択された世界の目標、SDGs(エスディージーズ)の視点から考えてみましょう。
未来予測の経営はSDGsから世の中の現状を知ることにあり
SDGsとはSustainable Development Goalsの略で、日本語では”持続可能な開発目標”と訳されます。
「国連加盟193か国によって採択された世界の目標。世界で多岐にわたって起きている問題を洗い出し、169のターゲット課題に整理し、それらを克服することで、2030年までに達成したい17のゴールを設定したもの。」
分かりやすくいうとこういうことなのですが、これだけでは、まだ理解しにくいですよね?
というわけで、まずは一歩引いて、世の中の現状を見てみましょう。
もしかすると、あなたが経営している会社の事業とは、かけ離れているように感じるかもしれません。
ですが、少しお付き合いください。
世界では、貧困に喘ぎ、一生懸命働いても、一日1.9ドル以下での過酷な生活を強いられている人が、なんと13億人も。
先進国の日本でも、年間所得が122万円以下の”相対的貧困”と定義される人たちが、7人に1人という高い割合で存在しているのをご存知ですか?
飢餓に苦しむ人口は8億人以上、驚くことに日本にも飢餓で亡くなる人もいます。
世界人口は年々増え続け、一日に22万人以上増えるという計算が出ており、そうなれば、限りある地球の資源はどんどん枯渇し、「人が増えることで人が苦しむ」という状態が巻き起こります。
かたや日本国内に目を向けると、少子高齢化が加速し、年金を受け取れない、”超高齢化社会”による労働力の不足など、日本経済に大きく関わる問題は、ニュースでもご存知のとおり。
また、コロナウイルス問題でも分かるとおり、健康面の被害を発端に、世界的な経済ダメージは超深刻で、ウイルス感染を受けていなくても、経済的に生命の危機を受けている人々もたくさんいます。
その他にも、CO2の大量排出が原因で、温暖化による気候変動は、日本を含め世界各地で様々な災害を起こしています。
このままでは、2100年には地球の平均気温は、4.8℃も上昇するとの予測も。
海のゴミ問題も深刻で、2050年には、海のゴミとプラスチックの重量が同じになるといわれていますが、その姿を想像できますか?
環境や経済の問題だけでなく、人権問題も深刻です。
性別や障がい、国籍、宗教・・など、様々な差別や暴力、格差などが生まれており、特に日本は、女性との格差がとても大きく、まだまだ”女性活躍”には程遠い状況。
ここに挙げたものは、世界の、日本の、深刻な問題のほんの一部であり、新聞やニュースでも良く耳にすることも多い内容ですよね。
これらの問題を解決していかなければ、すぐそこの未来に、僕らの生きる場所はなくなってしまいます。
少なくても、僕たちの子どもや孫の世代という、”すぐそこの未来”が危ないというリアルな状況だということを、まずは理解していきましょう。
そんな状況を回避し、より良い未来に向けて取り組んでいこうという、世界規模の目標がSDGsというもなのです。
SDGsの説明を、一言でもう少し分かりやすくいうとすれば
「人々がこれからの未来を生きていくために、(先にあげた世界の問題を含め)、今真っ先に解決しなければいけない、世界の問題を169個に絞り込み、環境や社会、経済、人権など、大きく17項目に分類された、世界の目標。」
ということになります。
現状の問題を知るということは、同時に未来も予測できるというわけです。
(SDGsを取り入れた経営戦略であなたの会社を大きく成長させるには)
SDGsを経営に取り入れることこそ未来に生きる道
この目標を達成することが、あなたが経営している会社が、そしてわれわれ人類が未来に生きる道なのです。
大げさに聞こえますよね。
はじめは僕もそうでした。
なぜなら「今それどころじゃない!売り上げを伸ばすために、こっちは必死なんだよ!」と思っていたからです。
要するに「ひとごと」だったわけです。
そんな中、僕がSDGsの重要性に気づき、社会をより良くしていくために、ビジネスの力で取り組んでいこうと思ったきっかけがあります。
自分自身が貧しく育ったこともあり、結婚して子どもが生まれてからは、「この子がやりたい夢ができた時には、全力で応援できるように稼ごう」
こう思って今まで働いてきました。
子どもの将来を守るために働いてきたつもりでした。
しかし、あるきっかけでSDGsを学んだ時に、「自分さえ良ければ、自分の子どもの未来さえ良ければ」ではいけないと気付かされたのです。
僕がSDGsを推進している理由について、詳しくはプロフィール欄をご覧ください。
人間は、より豊かで便利な暮らしをしていくために、様々な開発や発展をしてきました。
しかしその代償に、地球環境を傷つけ、人と人が争い命を奪い合ってたことは、今までの歴史を辿ればすぐに分かります。
その過程で、日本でいえば、水俣病や、イタイイタイ病、四日市ぜんそくなど、社会の教科書に出てくることでおなじみの公害を起こしてきました。
「もう、古い昔の話だ」と切り捨てられるのでしょうか?
先の例にもあげたとおり、人々の健康を害し、生命を脅かす問題は、まだまだ数多く存在します。
人の開発・発展が、巡り巡って人に跳ね返ってくるのであれば、そうならないような、人類が未来も持続的に豊かに暮らしていける「持続可能な開発」をしていかなければいけませんよね。
それが正にSDGsなのです。
誰かが”しわ寄せ”を受ける事業は経営の本質にあらず
なかなか遠回しなお話になってしまいましたが、ここまでお読みいただきありがとうございます。
ここからはもう少し具体的なお話に進めていきます。
さて、あなたが経営している会社の事業はどのようなものでしょうか?
どんなビジネスを展開し、収益につなげているでしょうか?
あなたが経営している会社のビジネスは、誰のどんな困りごとを解決できますか?
誰の未来に笑顔を届けられますか?
すごくシンプルなお話ですが、ここが間違っていると、この先あなたが経営している会社自体が持続しなくなってしまいます。
社会から弾かれてしまうのです。
あなたが経営している会社の存在理由はどんなところにあるでしょうか?
どんな事業やビジネスで、人の役に立てているでしょうか?
目の前の利益を求めてしまいすぎるが故に、その事業を行ったことによるしわ寄せで、別の誰かや環境が傷つけられてしまうことはありませんか?
もう一度ピーター・ドラッカーの言葉を思い出してみましょう。
「組織は、それ自身のために存在するのではない。それは手段である。それぞれが社会的な課題を担う社会のための機関である。生き物のように、自らの生存そのものを至上の目的とすることはできない。」
あなたが経営している会社は、社会的な課題を担う社会のために、事業を行っているのです。
「今は何も問題が起こってないから大丈夫」と思っていたとすれば、それは危険信号。
例えば、「強度があり、加工も簡単、軽くて使いやすい素材であるプラスチック」は、誰もがそれからできる製品を絶対に使ったことはあるはずです。
しかし近年、海洋プラごみ問題や大気汚染の観点から、「脱プラ」が叫ばれ、意識が高まっているのは、ニュースでもご存知のとおり。
人間にとって有効なプラスチックも地球にとってはしわ寄せ、つまり有害となり、そして地球に及ぶ害はやがて人間にも跳ね返ってくる。
そして、まさにその跳ね返りが現実問題として迫ってきている。
だからこそ、世界各国でも脱プラが叫ばれているのです。
となれば、今までプラスチックの加工や販売を生業にしていた会社はどうなるでしょう?
社会から求められなくなれば、その会社の経営は一気に立ち行かなくなってしまいますよね。
現にスターバックスや、マクドナルドといった大手企業は、ストローをはじめとしたプラスチックの使用の削減に向けて動いています。
その取引業者が、あなたが経営する会社だったとしたら・・
反面、プラスチックに変わって、”地球に優しい”新たな素材があれば、それは”社会からのニーズ”となるわけです。
これも実際に、普及が広がりつつある新素材として、TBM社の事業で開発されたLIMEX(ライメックス)という素材が注目されてきています。
LIMEXは石油ではなく、石灰石という素材から作られ、加工性も高く、地球に優しいという点から、大きな希望が広がっています。
(https://tb-m.com/limex/)
これはビジネスとしても大きな価値になりますよね。
このように、社会的ニーズに、あなたが経営している会社の技術やサービス、商品をどのようにマッチさせていくかが、問われてきているのです。
経営に必須!選ばれるビジネスをしていくための最大の近道とは?
しかし、ビジネスとは元々「誰かの困りごとや悩み」に対してこそ存在する価値なはず。
お腹が空いて困っている人に、八百屋は野菜という価値を販売するというビジネス。
良い学校に受かりたいと悩んでいる人に、塾は高度な学習という価値を販売するというビジネス。
至ってシンプルですよね。
プラゴミで海や土壌、大気が汚されて困っている人に、LIMEXという素材を販売するというビジネス。
あなたが経営している会社はどんな事業をしていて、どんな社会の困りごとの解決に向けた、価値を提供するビジネスができますか?
当然ながら、会社を経営していくということは、簡単ではありません。
日本の経営者は3.9%しかおらず、あなたはそんな貴重な存在なのです。
社会のニーズに応えられる経営ができるのもまた、あなたのような経営者だけなのです。
未来を予測し、何が世の中から求められているのか?
そのニーズには自社のビジネスでどのように貢献していけるのか?
時には新規事業を打ち出す必要があるかもしれません。
そんな目で、一歩引いて経営とビジネスを振り返る必要が今ということです。
未来を予測するヒントに、経営にはぜひSDGsを取り入れてみてください。
SDGsは世界が求めるニーズなのです。
そのニーズに応えられなければ、すぐそこの未来はなくなってしまうのです。
社会のニーズに応えることが未来の予測に繋がります。
世の中の問題解決に貢献した事業を行っていけば、あなたが経営している会社は”社会から求められる会社”になりますよね。
まずはSDGsの基礎を理解し、17項目169種類の目標を読んでみましょう。
[環境省:SDGグローバル指標(SDG Indicators)]
そして、ここがポイントですが、決してSDGs経営は経営者だけで行わず、従業員の皆さんに落とし込んでいってください。
従業員が SDGsを理解してくれれば、新たなビジネスアイデアや、新規事業の構想が加速的に進んで行きます。
僕も、企業向けにSDGs導入セミナーをする際は、経営陣だけでなく、可能な限り従業員の皆さんに集まっていただくようにしています。
SDGsを共通言語にすることが、選ばれるビジネスをしていくための、最大の近道なのです。
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