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あなたは、自分が経営している会社を、今よりもっと成長させ、安定した経営基盤になるような事業を展開していきたいと思っていませんか?
それならば、これからお伝えすることは、経営者のあなたにとって、いや、経営者に限らず、新規事業を打ち出していきたいと思う、あなたの会社の従業員の皆さんにとっても、すごく大きな意味のある記事になることと思います。
今回は、世の中から求められる、お客さんが集まり売上につなげるための”アウトサイド・イン”という事業構想方法についてお話しします。
これからの時代に経営する上でどんな事業をしていくといいのか?
まずはじめに、一つ聞かせてください。
あなたが経営する会社は、なぜ今の事業をビジネスとして展開しているのでしょう?
僕の周りには、大きな目的は特になく、「今まで勤めてきた会社で経験してきたから」や「自分がやりたい好きなことだったから」「お金になるから」という理由で会社を立ち上げ、経営者になった人が結構多いように思います。
今までの経験や、好きなことを活かすのは、とても良いことですよね。
好きじゃなければ続かないし、未経験よりも経験があったほうが、それを始めるにあたっても有利です。
しかし、その経験や好きなこととは、経営をしていく上では当然”趣味”ではなく、事業、ビジネスとして”仕事”にしなければなりません。
「お金になるから」といって始めたあなたの経営する会社が、もし、毎年売上記録を更新し、成長を続けていたとしても参考になることがあると思うので、よかったら続きを読んでみてください。
もしかしたら、その事業は今後続かなくなる可能性があるからです。
アウトサイド・インによって需要と供給を再確認し時代に合わせた事業展開を
というわけで続きをお伝えしていきます。
例えば、あなたが美容院に行きたくなる時ってどんな時ですか?
髪を切りたい時、髪を染めたい時、パーマをかけたい時・・・
いろいろ理由があるかと思います。
いくら自分が「美容師になりたいから」と思って、その職業になり美容院の経営者になったとしても、世の中の人たちがみんな、ヘアスタイルやケアには無頓着、興味が全くなかったとしたら、お客さんは来店してくれません。
そういう人たちは、髪の毛のことに対する願望や困りごとがないからですよね。
今度は医者になることが夢で、あなたは最新の設備の病院委員長になったとします。
でももし、その街に住む人が全員超健康だったら、患者さんは来てくれません。
極端なお話をしましたが、要するに需要がないところに、供給はできないという原理があるという例え話です。
でも、相手が特に望んでいないのに、あなたがもし、自社のサービスや商品を売る、という事業をしていたとしたら?
実はあなたは気づかぬうちに、自社本意な経営で、それを必要としていない人たちに、過度な売り込みをしてしまっている可能性があるのです。
時には売れない理由を値段のせいにして、必要以上に販売やサービス金額を下げ、自ら経営を圧迫する値段勝負の土俵に上がっているということはないですか?
いくら値段を下げても、ヘアスタイルやヘアケアに全く興味がない人は、来店してはくれません。
いくら値段を下げても、病気が全くない健康な人は来院してはくれないのです。
需要があるから供給ができる、「当然だろ」と思っていても、案外忘れがちなことではないでしょうか。
であるならば、まずあなたは世の中の需要をもう一度再確認する必要があります。
時代はどんどん変化し、世の中が求めているものも、当然変化していっているのです。
世の中の需要を確認するためにも”アウトサイド・イン”という考え方が重要になります。
アウトサイド・インこそ事業を生み出し経営をしていく上で必須の考え方
『”アウトサイド・イン”とは、世の中の問題点から、解決に向けてアプローチしていくという考え方です。』
「世の中の問題点の解決こそ、お客さんが求めること」まずはこの理解が重要です。
「世の中の問題点」と聞いて、あなたはどんなことが思い浮かびますか?
少子高齢化、イジメ、虐待、セクハラ、女性の社会進出、など・・人にまつわる問題ですか?
温暖化、気候変動、海ゴミ問題、大気汚染、など・・環境の問題も浮かびますよね?
大きなくくりで例をあげましたが、細かく分けていけば、数限りない問題が浮かんでくるはずです。
「持続可能な世界の実現」ということが、問われる時代になりました。
人権や環境、社会の問題に今、世界中が注目しています。
ということは、このアウトサイド・インの考え方が、経営者のあなたには、むしろ必須といえるし、これから新たな事業展開を考えている方にも、アウトサイド・インからのアプローチは重要になります。
決して大げさではなく、今、世の中の問題を解決に向けて動かないと、地球が、そしてそこに住む、われわれ人間をはじめとした生命が、生きていけなくなるということが、国連の世界目標”SDGs”で発信されています。
(SDGsグローバル指標)
「生きていけなくなる」となれば、それを解決してほしいという欲求は、何よりも優先的な需要となりますよね。
その需要を満たす供給を、あなたが経営する会社の商品やサービスを展開する事業で提供できたら=お客さんが集まるという構図になることは、容易に想像できるのではないでしょうか。
これこそまさに、アウトサイド・インからのアプローチなのです。
「急に人権や環境問題とかいわれても、私が経営する会社の事業とは、なんの関係もない」とあなたは思うかもしれません。
そこで今度は実例を挙げて、一緒に考えてみましょう。
例えばアウトサイド・インのア視点から食品ロス削減に取り組む事業展開
あなたは”食品ロス”や”フードロス”という言葉を聞いたことはありますか?
以前も「SDGsを取り入れた経営戦略であなたの会社を大きく成長させるには」という記事を書いたときに少しお話ししました。
(SDGsを取り入れた経営戦略であなたの会社を大きく成長させるには)
今、消費されるよりもはるかに多くの食品が世界で生産され続け、廃棄されていく状況があります。
日本国内だけでも、食べ残しではない”まだ食べられるのに”廃棄されてしまう食品の量が、年間632万トン、世界で廃棄されている食品はなんと13億トンにも及びます。
焼却で廃棄されることによって、大量のCO2が発生、温暖化を加速させているという現実。
温暖化によるリスクは
・高潮や沿岸部の洪水、海面上昇による健康障害や生計崩壊のリスク
・大都市部への内水氾濫による人々の健康障害や生計崩壊のリスク
・極端な気象現象によるインフラ機能停止
・熱波による死亡や疾病
・気温上昇や干ばつによる食料不足や食料安全保障の問題
・水資源不足と農業生産減少
・陸域や淡水の生態系、生物多様性がもたらす、さまざまなサービス損失
・同じく海域の生態系、生物多様性への影響
が挙げられるという発表が、WWFジャパン(公益財団法人世界自然保護基金ジャパン)からもなされています。
これらは、遠い未来の自分とは関係ない話ではなく、すぐそこに迫った、すでに起きていることもある、目の前の現実の話なのです。
ともなれば、食品ロスの削減に向けた事業は、温暖化への悪影響を減らし、気候変動の抑制につながる、人々が求める”需要”になるといえますよね。
他にも食品ロスは、焼却による税金の投入や、最終処分場の不足などの問題点も出てきます。
そんな食品ロスを削減への一助となるべく、アウトサイド・インの視点から、この問題に取り組む事業をしている企業の一つが、株式会社日本フードエコロジーセンターさんです。
まだ食べられるのに、廃棄されてしまう食品を、有効に活用し、養豚所で豚の餌に生まれ変わらせ、再利用させるという事業を展開しています。
近年、畜産経営者を圧迫しているのが、輸入飼料の高騰です。
豚は畜産経営コストの半分以上の63%が、飼料代にかかります。
コストがかさみ、経営が立ち行かなくなれば、当然われわれが口にする豚肉も食卓に並ぶことはなくなるし、畜産経営を廃業した人たちの職も失われてしまいます。
これらの問題を社会的な需要ととらえる、これがアウトサイド・インです。
日本フードエコロジーセンターさんは、まさにこのアウトサイド・インから事業を構築し、経営を行っているわけです。
ちなみに、他の牛や鶏といった家畜の飼料コストも高騰しているのですが、人間と同じ食材を食べられるのは、豚だけなのだそうです。
アウトサイド・インであなたが経営する会社の能力を発揮した事業を
もちろん、この方法が唯一無二で最善ということではなく、手段の一つであり、アプローチの方法は様々にあるはずです。
そのアプローチを、あなたが経営する会社の技術や商品を使ってできるかもしれないし、もしかしたら気づかぬうちに、すでに事業として行っているなんていうことがあるかもしれません。
今回は食品ロスを例に出しましたが、あなたが経営する会社の技術や商品は、海ゴミ問題の解決への一助になるかもしれないですし、虐待や、性別的な差別を減らすことができるとするなら?
ここからは、冒頭の美容院経営について、アウトサイド・インの視点で考えてみます。
「ヘアスタイルやケアに全く興味がない人たちは、美容院には来ない」という現実があったとしたら、こう考えてみてはいかがでしょう。
その人たちがもしかしたら、「ヘアスタイルには全く興味がないかもしれないけど、彼女(彼氏)は欲しい」という願望(需要)があるとしたら?
「あなたに彼女(彼氏)ができないのは、ヘアスタイルがイケてないからです」「モテるためのはじめの一歩は、ヘアスタイル!」という打ち出し方をすれば響くかもしれません。
アウトサイド・インの視点で考えると、需要は「カッコよく(キレイに)なりたい」ことではなく、「彼女(彼氏)が欲しい」ことなのです。
少子高齢化が進む日本で、男女が付き合い、結婚して、子どもを増やしていったとしたら、美容師の仕事が社会課題解決への一助になるということになりますよね!
これは、あくまで極端な想像の例え話ですが、アウトサイド・インの視点では、実際の世の中の困りごとに敏感にアンテナを立て、その困りごとはどれだけ多くの人たちが、本当にそう思っているのかを、時としてしっかりと調査する必要も出てくると思います。
的外れな自分の想像だけの需要だったとしたら、事業を始めても、当然誰も買いに来てはくれません。
的確なアウトサイド・インをし、その問題に合わせた事業を展開していくことが、経営者としてのあなたの手腕が問われるところかもしれません。
山のようにある世の中の問題点ばかりの現代。
人々は、あなたが経営する会社のサービスや商品を待ち望んでいるはずです。
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